「イントラネットフォーラムIN高梁」

1998年1月22日 木曜日

「イントラネットフォーラムIN高梁」高梁地域情報化フロンティア事業

(入 門 編) 
       

「簡単で安い企業内情報システム・イントラネット。まずはインターネットに接続してみよう」
講師 NTT法人営業本部システムサービス部インターネット担当・白石涼子氏

高梁商工会議所では、高梁地域情報化フロンティア事業の一環として、1月21日(木)、午後1時30分より、「イントラネットフォーラムIN高梁」(高梁商工会議所・日本商工会議所・イントラネットフォーラム実行委員会主催・高梁地域づくり交流会協力)を、高梁市文化交流館ハイビジョンルームにおいて、開催いたしました。
同フォーラムは、中小企業情報化入門セミナーとして3人の講師をお招きし、入門編・事例編・発展編の3部構成で開催したもので、当日は、約60人が参加、荻田和義副会頭の挨拶、山田光政広報委員長の講師紹介の後セミナーに入り、まずはじめに、入門編の講師にお迎えしたNTT法人営業本部システムサービス部インターネット担当・白石涼子氏より「簡単で安い企業内情報システム・イントラネット。まずはインターネットに接続してみよう」をテーマに講演をいただきました。
白石先生には「インターネットは、約30年前、アメリカ国防省が開発し、軍事研究支援のネットワークとして利用されてきたもの。そして、80年代には、主に学術研究として大学等で利用されてきた。現在、インターネット上のホスト(サーバー)数は、24万、ドメイン(組織)数は約140万といわれ、特にこの2~3年、爆発的に急増している.。それは、90年代に入り、ビジネスにも活用できるようになってきたからだ。

本日のタイトルでもある、イントラネットとは、インターネット技術を使った社内のネットワークのことで、一方、それぞれ違った企業(イントラネット)同士がインターネットを通じて、相互に接続して1つの業務を行っていくことをエクストラネットと呼んでいる。また、社内ネットワークの変遷を見ると、約15年位前は、大型コンピュータが処理を行っていたホストコンピュータ時代で、価格も高く、広いスペースが必要で導入も1部の企業に止まっていた。その後、パソコンが中心のクライアントサーバー時代に入り、パソコンが誰でも使えるようになってきた。
ただ、パソコンとデータベースの連携のためのソフトの購入と、インストールする手間がかかり、時間と資金がかかっていた。しかし、ホストコンピュータ時代に比べると格段に低価格になってきた。
現在はインターネット時代。システムはクライアントサーバー時代と変わらないが、例えば、ホームページを見るのにもブラウザを参照でき、1つ1つのパソコンにソフトをインストールする必要がなくなり、更に安く、便利になってきた。また、文字だけでなく音声、動画などマルチメディアも容易に活用できる。

インターネットへの接続はインターネットサービスプロバイダーと契約すれば簡単にできる。プロバイダーは、それぞれサーバー等の設備や料金体制も従量制、定量制など異なるので、使用目的にあったプロバイダーを選んでほしい。ホームページ(WWW)や電子メールはどのプロバイダーでも可能だ。電子メールは、データを相手に瞬時にやり取りできるので大変便利。例えば15人の会議を行おうとしても、全員がそろう時間も限られ、日程調整や資料のコピーなど、準備も大変だった。
電子データを活用すれば、集まる必要がなく、資料の修正なども簡単で、コピーも必要ない。決して電子メールがベストと言う訳ではないが、仕事のある部分については大変役立つツールにであることは確かだ。今や、誰でも簡単に利用できるので、まずインターネットを試してみて、皆様の企業で是非活用したいただきたい」とお話いただきました。

事例編 「イントラネットとセキュリティ」
講師 ㈱ヒューコム 社長室新規事業担当・日本インターネット協会セキュリティ部会委員高橋麻衣子氏

続いて、事例編の講師にお招きした、㈱ヒューコム社長室新規事業担当で、日本インターネット協会セキュリティ部会運用委員・高橋麻衣子氏より「イントラネットとセキュリティ」について講演をいただきました。
高橋先生には「日本インターネット協会編の『インターネット白書」によると、日本のインターネットの利用者数は今年12月には、2000万人を超える勢いで、その利用目的は①趣味・エンターテイメト②仕事・研究③コミュニケーションの順となっている。中小企業の皆様にとって、今後は、いかにインターネットを仕事や経営に役立てて行くかを考えて行くことが重要になってくる。
インターネット技術で社内システムを構築していくことがイントラネットであり、クライアントからの要求に基づいて様々なサービスを提供するサーバと、サーバからのサービスを受けるコンピュータのクライアントから成る、「クライアントサーバシステム」の構築が、コストメリット、拡張性、使いやすさ、等の面で大変導入しやすくなってきている。
特に、多くのサーバー機能を1台のサーバーで行うオールインサーバーも開発され、導入コストもパッケージで39万円~と、求めやすい。「ネットワークの管理者がいなくても低価格でイントラネット、インターネットが導入できる」ことが、商品のコンセプトだ。
イントラネット導入検討中の中小企業の皆様に是非お勧めしたい。インターネットの情報発信でホームページの企業利用は非常に大きな役割を果たしている。現在、企業によるホームページの情報発信内容は、①企業紹介②製品・サービス紹介③広告、人材募集等が主だが、今後は、今まで人件費を使っての作業であった製品・サービスのアフターケアや販売・予約、クレーム対応等をサービスに加える事により、ビジネスの幅が広がってくる。
このように安くて簡単にイントラネットが導入できるように成った反面、セキュリティも大きな課題となっている。ネットワーク上には、侵入者が正規ユーザのID、アドレス等を盗み、本人になりすまし自由にネットワーク資源を利用する<なりすまし>、モニタリング等による情報の〈盗聴〉、〈インターネットを通した〈盗聴〉、盗聴したデータを置きかえる〈改ざん〉、被害を発生させるプログラムを仕掛けてコンピュータの利用を妨げる〈ウイルス〉などをはじめとする様々な脅威が存在する。
ハッカーやクラッカーに進入されれば、パスワードや重要ファイル、情報を簡単にコピーまたは改ざん、破壊されてしまう。私たちはサービスの強化だけでなく、このような脅威に対策を講じる事も重要であり、実務と証、ウイルス対策といった観点から求めるサービスにあった適切なプロダクトを選定し、バランスの取
れたネットワークセキュリティを構築する事がポイントである。
高梁の街の情報発進、ビジネス・コミュニケーションツールとしてインターネットの有効利用のご検討に、このセミナーがお役に立つことができれば幸いに思う。一方、富山県山田村で行われているように、情報化を通して地域活性化を目指して地域イントラネット構築している市町村もある。
現在高知県東和村でも構築中だが、今後企業はもちろん幅広い視点でイントラネットの導入を検討いただきたい。最後に皆様の街高梁の発展を心よりお祈りすると共に、今回大変お世話になった高梁商工会議所の方々及び、関係者の方々に厚く御礼お申し上げたい。」とお話いただきました。

       

その③発展編 「イントラネットによる情報発信型ビジネス向けて」
講師 日本インターネット協会幹事 匠 英一氏

最後に、発展編の講師にお招きした、日本インターネット協会幹事・匠英一氏により「イントラネットによる情報発信型ビジネスに向けて」について講演をいただきました

匠先生には「本日高梁で開催したイントラネットフォーラムは、イントラネットを地方に普及して行くこと
を目的に、すでに全国60数カ所で行ってきた。

今日はビジネスとして、イントラネットでどうしたら利益を出していくかを考えたい。現在、コンビニなどで販売しているインターネット用プリペイドカードを購入し、同カードが使用できるホームページを選択し、決済すれば買い物できる仕組みのインターネットショッピングがすでにおこなわれている。こうした商取引は更に進んでいくだろう。

また、ネット活用例としては、建設会社が、モデルルームをバーチャルで紹介し、希望者は購入条件を検索し、現地に行かなくても選べることができる。不動産関連では、住宅情報はすでにホームページで探したほうが早い。ネット上でオリジナルTシャツを販売している会社の例では、その会社に自分の写真を送れば、自分だけのオリジナルTシャツを作ってくれる。もちろん写真もインターネットで送ることができる。

顧客側がデザインしたTシャツの製造を協同でネット上でしているわけだ。その上、それらの中から、デザインコンクールをネット上で行い、優秀デザイン賞を贈っている。会社としては、賞に選ばれた人気のある製品を製造すれば必ず売れるわけで、お客の参加と共にアイデアを活かし、マーケティングにも役立てている。インターネットの特徴をフルに活用しているケースだろう。

イントラネットによる情報発信型ビジネスの特徴の第1は、リアルタイム。ホームページ等は24時間いつでもどこでのサービスできる。第2は、ネットワークの活用。

今まではパソコンを使うことが目的だったがサーバーで情報管理し、幅広く活用できる。第3は、放送(プッシュ)型の情報サービス化。見せたいサービスをサーバ側(送り手)から強制的に送ってくる方式。第4はONEtoONE型の顧客連携サービス化。一人一人に合ったサービス、情報をどうやって与えて行くかなどの特徴を生かしてほしい。

大手広告企業の例では、これまでそれぞれのチームが別々に営業、企業回りの重複や無駄があった。そこで放送(プッシュ)型の情報発信を組み込んだイントラネットを構築して、ネット上に外回りの営業情報を一元管理し、リアルタイムで各チームが情報共有するようにした。

それによって導入前より1.5倍の売上増となったという例もある。どうやって顧客満足を生み出すかが情報化の前提であり、そのためにデータベースとの連携、アウトソーシングや企業間のパートナーシップが重要となる。要約すれば、次のようなイントラネット利用の性質をアップさせることが成功のポイントだ。

①仕組みとして営業を支援するのためのノウハウ利用性。②情報発信のリアルタイム性。③オンリーユー型サービスのカスタマイズ性。④双方向型パートナーシップを通した参加共感性。⑤誰でもいつでも利用できる標準性。

コンピュータを知らなくてもよい。問題なのはインターネットで何ができるかを知り、利益をあげる仕組みを創る発想力だ。
インターネットやホームページも簡単にできる時代。皆様の企業でイントラネットをビジネスに有効に生かしたいただきたい」とお話いただきました。