「小堀遠州の世界2003」(高梁商工会議所主催、高梁地域づくり交流会主管)の第2弾の「遠州学」を、11月4(火)、午後7時から高梁商工会館において開催いたしました。当日は約50人が参加、荻田和義会頭の挨拶の後、講師にお招きした、遠州茶道宗家十三世家元小堀宗実氏より「茶の湯の魅力」をテーマに講演いただきました。
小堀宗実家元には「茶の湯の魅力は『美味しいお茶をいただけること』につきる。茶道の世界では、会席料理をいただく茶事も魅力だ。茶事は三~四時間かかる。なぜ時間がかかるかというと、点前の前に炭を入れ火を起こし釜の湯を沸かす。その二時間位の間に山海の珍味の献立の会席料理をいただくわけだ。食事を楽しんだ後に濃茶、薄茶をいただき、最後に果物と番茶でもてなす。あまり知られていないが、茶事では、お酒もお出しする。同時に茶席では、掛け物、花入れ、釜、茶碗、茶入など道具を楽しむことも魅力。その1つ1つの道具を見るだけでなく、誰が何時、どこで使用したか、誰が作ったかを知ることができ、数百年の時代を超え、直接道具に触れることができるからだ。
利休の茶室は、2畳位で窓が少なく、あまり明りの入らない狭い茶室。一方、遠州の茶室は、3畳半以上で、窓が多い明るく広い茶室だった。亭主の茶の考え方で、茶席も大きく違ってくる。お茶は、相手がいてはじめて成立つもの。まずお客をどのようにお招きしようかと考えることがスタートだ。茶席では、知らないことが多いと思うが、作法通りではただそれで終ってしまう。最低限のルール(作法)を守って、知って楽しもうという姿勢であれば、色々な面が見えてくる。そして先生に教えられた事だけでなく、自分自身が創意工夫していくことも楽しみだ。また、お点前では、一生懸命稽古すれば技術が向上していく。茶道を通し自分のレベルが上がっていくことが解り、それが目に見えるのがお点前。また、茶席に花を生けることなどは、技術でなく感性で、感性を磨いていくことも大切だ。
今日は、遠州茶道宗家での『炉開き』の日で、私どもの世界では正月より目出度い日だった。日本では、その土地の文化や家庭の中の行事などを、節目としてもう一度見直すことが大切だ。子供の頃、正月には、あんな事をしていたと言う事は一生頭に残っており、けじめになると共に、いずれ役に立っていくと思う。
高梁では、流祖遠州を大切にしていただいている事に感謝している。遠州は、季節感を感じれる様に、お茶の世界に庭の重要性を深めていったが、その外、建築、和歌、茶碗づくりをはじめ多くの事を残し伝えている。皆さんが興味を持ったものから入っていただき、茶の湯の魅力に触れていただければと思う」とお話しいただきました。(講演要旨文責・事務局遠藤)
遠州学に先立ち、家元、吉田秘書、吉備国際大学高橋正己教授らは頼久寺を訪問、頼久寺生島住職の指導で、吉備国際大学「茶道部」の皆さんが、抹茶でおもてなしをされました。そして、家元は、高梁地方振興局赤木匠局長、同茶道部、社会学部文化財修復国際協力学科を中心とした茶道サークル「照今のつどい」の皆さんと、和やかに懇談いたしました。
翌11月5日(水)、家元一行は立木高梁市長を訪問の後、午前10時55分から、吉備国際大学社会学国際交流会館多目的ホールにおいて、吉備国際大学社会学部文化財修復国際協力学科・高橋正己教授が担当され、同大学秋季学術講演会(同大学社会学部主催)が開催されました。
同講演会には学生、市民ら約120人が参加、下山進学科長の挨拶の後、講師にお招きした、遠州茶道宗家十三世家元小堀宗実氏より「茶の湯の不思議」をテーマに講演がおこなわれました。家元をお招きした講演会は、昨年に続き、商工会議所・高梁地域づくり交流会と吉備国際大学が連携した「産学連携講演会」となりました。
引き続き、加計理事長、窪田学長らと懇談の後、岡山県立高梁高校(山部 正校長)を訪問いたしました。同校では平松茂教頭から学校の説明をいただき、一般公開中の「有終館」を見学、そして、遠州公作庭の心字池のほとりに建つ「光風館」で、同校茶道部が抹茶のおもてなしをされ、茶道部の生徒達と家元が、なごやかに懇談いたしました。
「遠州茶会を開催」
続いてシリーズ第3段として、11月23日(日)、午前9時30から頼久寺において、茶道遠州会岡山教室と茶道表千家仲田宗よ社中による「遠州茶会」を開催いたしました。
平成8年度に始まった遠州茶会も今年度8回目となり、高梁の茶会として次第に定着してまいりました。当日は、午前9時から「茶筅供養」が行われた他、甘酒席も設けられ、市内外から参加された250人が、高梁の風情を感じながらお茶を味わっていました。
特に、昨年度から、吉備国際大学「茶道部」、茶道サークル「照今のつどい」と合同で開催しており、「小堀遠州の世界」の活動は吉備国際大学と連携した「産学連携」活動で、新たな地域づくりへと育ってきました。